これは聴くな! これは観るな!

クラッシク音楽のCD、コンサートやオペラ、バレエなどの公演レビューを独断的評価を行うことで、みなさまに判断材料を提供するものです(特定の個人・団体を非難するものではありません)。

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新国立劇場「カルメン」

【カルメン】マリア・ホセ・モンティエル
【ドン・ホセ】ゾラン・トドロヴィッチ
【エスカミーリョ】アレキサンダー・ヴィノグラードフ
【ミカエラ】大村 博美
【スニガ】斉木 健詞
【モラレス】星野 淳
【ダンカイロ】今尾 滋
【レメンダード】倉石 真
【フラスキータ】平井 香織
【メルセデス】山下 牧子

【合唱指揮】三澤 洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】杉並児童合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ドレスデン国立歌劇場 「タンホイザー」

さて、本年3度目の「タンホイザー」。演出もコンビチュニーだし、ひさびさの生ドレスデンだし、と期待は小さくなかっただけに、失望は大きかった。まあ、指揮者の問題もあるんだろうけど、「これって、本当にドレスデン?」という響きの薄さとアンバランスに愕然。どうしても、頭の中にある「ドレスデン」と目の前にある音が一致せずに困惑状態。本当に自分の耳が信じられなかった(実際、最近左の耳の高音聴取に問題があるし)。歌手陣も今ひとつ突き抜けたところがなく、もさっとした印象。

演出は、コンビチュニー的面白さはあるのだが、それが今ひとつ落ちてこない。最後の場面で、ベーヌスに抱かれてタンホイザーとエリーザベトが横たわるシーンも、愛というものの動物的本源性を暗示し、いたずらにプラトニックに美化する偽善性を象徴的に批判しているのかとかんぐっていたら、コンビチュニーはインタビューで「愛は母のようなものだから」とあっさりものだった。「今ひとつ落ちない」要因もここいらヘンにありそうだ。

ちなみにジャパン・アーツの招聘には最近、どうも感心しない。NBSに比べると相手を本気にさせる努力が足りないような気がする。いろいろ批判もあるが、佐々木忠治の仕事に、ハズレはあまりない。それは招聘相手の来日で留守になる劇場に、東京バレエ団を送り込んだり、厚い信頼関係が築かれていることが大きいような気がする。


指揮:ガボール・エトヴェシュ

タンホイザー:ロバート・ギャンビル
領主ヘルマン:ハンス=ペーター・ケーニヒ
ヴォルフラム:アラン・タイトス 
エリーザベト:アンネ・シュヴァンネヴィルムス
ヴェーヌス:エヴリン・ヘルリツィウス

演出:ペーター・コンヴィチュニー
舞台美術:ハルトムート・マイヤー
衣裳:イネス・ヘルテル

11月10日(土) 3:00p.m. 神奈川県民ホール

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ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 来日公演

指揮:クリスティアン・ティーレマン
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調

2007年11月4日(日)
サントリーホール

新国立劇場 「タンホイザー」

「タンホイザー」は厄介な作品だと思う。21世紀に生きる男女にとって、この話をまともに熱く語られても困る。その一方で、高揚感をかもし出しながらうねる音楽は、普遍的な魅力を備えている。このギャップをどう解決して、現代に再現するのかが問われている。3月の小澤公演のように、オケや歌手がイマイチでも、とことんトリップした演出で攻めちゃうという手もあるし、一昔前なら、怪しくクライ演出で、なんとなくありそうな話にしたてちゃうという手もある。

しかし、この公演はなんとも中途半端だ。演出も、美しく、そつがないし、歌手やオケも、最近の「新国レベル」としては、とくに文句を言うほどでもない。この準優等生的な生ぬるさが、「タンホイザー」にとっては致命的だ。毒というか呪いというか、そういうものが上演する側には必要なんだよなあ。だから、「味の薄い色つきサイダー」のような演出と演奏は、そうにも癇に障ってしまう。

わざわざ「若杉 弘 芸術監督就任第一作」と銘打つからには、この公演が、若杉路線のプロモーションになるのだろう。「軍人たち」のような演目には期待したいが、他のスタンダード・レパートリーは、この路線なんだろうな・・・。


指揮:フィリップ・オーギャン
東京フィルハーモニー交響楽団

領主ヘルマン:ハンス・チャマー
タンホイザー:アルベルト・ボンネマ*
ヴォルフラム:マーティン・ガントナー
ヴァルター:リチャード・ブルンナー
ビーテロルフ:大島 幾雄
ハインリッヒ:高橋 淳
ラインマル:小鉄 和広
エリーザベト:リカルダ・メルベート
ヴェーヌス:リンダ・ワトソン
牧童:吉原 圭子

新国立劇場合唱団
牧阿佐美バレエ団

演出:ハンス=ペーター・レーマン

2007年10月20日

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ベルリン国立歌劇場 『モーゼとアロン』

初見の演目だったが、予想以上に面白かった!字幕も大変よく出来ていたし、思い切り脳みそのエクササイズとして最高だ。バレンボイムが、ベルリンの劇場を引き連れて、キリスト教徒からユダヤ教に「転向」したシェーンベルクの、「モーゼとアロン」をペーター・ムスバッハが演出するとなれば、良くも悪くも刺激的でないはずがない。

しかし、ここでの刺激は、その舞台の外見ではなく、演奏と一体になったその言葉にある。フセイン像や「マトリックス」のエージェントを連想させる「道具」は、その話題性はともかく、むしろその変化のあまりない情景は、言葉と音楽を通じた思索に、私たちを集中させてくれる。

それだけに「ユダヤ人は、土地ではなく、拡散し人々の心に生きる」などの台詞も、今日の状況とむすんで多義的な色彩が展開され、脳内で点滅する。さらに未完の3幕にはふれず、2幕で完結させることによって、なぜモーゼが言葉の欠落を嘆くのか、そして出エジプトに際してあらわれた火の柱は、本当にヤハウェ(エホバ)だったのか・・・。現実と結んで様々な解釈が可能となるところに、この作品の古典として価値があるように思える。

当日の東京文化会館では、ためらいがちに拍手をするNBS常連のご婦人方もみうけられたが、ストレートなオペラ的感興をもとめる方は、観ない方がよいかも。しかし、脳みそプレイが大好きな方には是非見ていただきたかった。

指揮:ダニエル・バレンボイム
    ベルリン・シュターツカペレ
    ベルリン国立歌劇場合唱団
演出:

衣裳:アンドレア・シュミット=フッテラー
照明:フランツ・ペーター・ダヴィッド
合唱監督:エバハルト・フリードリッヒ

モーゼ:ジークフリート・フォーゲル
アロン:トーマス・モーザー
若い娘:カローラ・ヘーン
病人:ウタ・プリエフ
若い男:フロリアン・ホフマン
エフライム:ハンノ・ミューラー=ブラッハマン
僧:クリストフ・フィシェッサー

2007年10月18日 午後7時開演 東京文化会館

バレンボイム マーラー交響曲第9番 ベルリン・シュターツカペレ

指揮:ダニエル・バレンボイム
ベルリン・シュターツカペレ

G.マーラー:交響曲第9番 ニ長調

10月12日(金) 午後7時開演 サントリー・ホール

ベルリン国立歌劇場 『トリスタンとイゾルデ』

指揮:ダニエル・バレンボイム
    ベルリン・シュターツカペレ
    ベルリン国立歌劇場合唱団
演出:ハリー・クプファー

トリスタン:クリスティアン・フランツ
マルケ王:ルネ・パペ
イゾルデ:ワルトラウト・マイヤー
クルヴェナル:ロマン・トレケル
メロート:ライナー・ゴールドベルク
ブランゲーネ:ミシェル・デ・ヤング
牧童:フロリアン・ホフマン
船乗り:パヴォル・ブレスリク

美術:ハンス・シャヴァノフ
衣裳:ブキ・シフ
照明:フランツ・ペーター・ダヴィッド
合唱監督:エバハルト・フリードリッヒ

2007年10月8日(月・祝) 午後3時開演 神奈川県民ホール